はじめに
この記事では、【第1回】 準備、システム概要・構成編の『システム構成例(1):Azure IoT Centralを用いたシステム構成』に記載した構成を使用し、実際にIoTデバイス(Acty-G3)をAzureへ接続する手順について説明します。
PoCの準備は済んでますか?
以降の記事を実際に試される方は、以下の2つを事前に準備してください。
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Acty-G3(GPSトラッカー/IoTゲートウェイデバイス)
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Azureポータルアカウント
※この記事はActy-G3をWi-Fiのアクセスポイントに接続する手順を含んでおり、Wi-Fiを介してインターネットへ接続できる環境が必要です。
Azure IoT Centralへ接続する方法は?
Azure IoT Centralへ接続する方法は複数あります。
まずデバイスを認証する手段が3種類用意されています。
- 対称キー(文字列) ※詳細は対称キーの構成証明を確認してください
- X.509(証明書) ※詳細はX.509 証明書の構成証明を確認してください
- TPM(ハードウェア) ※詳細はTPM の構成証明を確認してください
また、デバイスの登録単位には以下の2種類があります。
- グループ登録:複数デバイスを1つの証明書や対称キーで扱う(個々のデバイスに対して異なる認証情報を書き込みという作業が不要となります)
- 個別登録:デバイス単位に証明書や対称キーを準備する(事前にデバイスの登録が必要になりますので、デバイスの数が増えた場合に管理が大変です)
TPMでのグループ登録は存在しないため、以下の5通りが対応してる接続方法となります。
接続方法 | 説明 | Acty-G3の サポート |
---|---|---|
グループ登録 (対称キー) |
DPSを使用してデバイスを自動登録します。登録時の認証に 対称キーを使用します。IoTデバイス(Acty-G3)の場合はIMEI (製造番号)をデバイスIDとして自動登録を行います。 この接続方法はアプリケーションの作成時に自動的に登録 されていますので、すぐに利用が可能です。 以降の説明ではこの接続方法を使います。 |
○ |
グループ登録 (X.509) |
DPSを使用してデバイスを自動登録します。登録時の認証に X.509証明書を使用します。使用する場合はAzure IoT Central 上で設定が必要です。 デバイス登録に記載がある「X.509 証明書を使用するデバイス を自動的に登録する」に従って設定を行います。 Microsoftは運用環境においてこの方法を推奨しています。 |
× |
個別登録 (対称キー) |
この接続方法では事前にAzure IoT Centralアプリケーションに デバイスを登録する必要があります。デバイス登録に記載が ある「事前に1つのデバイスを登録する」に従ってデバイスを 登録しておきます。 |
○ |
個別登録 (X.509) |
この接続方法では事前にAzure IoT Centralアプリケーションに デバイスを登録する必要があります。個別加入に記載がある 「個々の登録を作成する」のX.509証明書を参考にしてください。 |
× |
個別登録 (TPM) |
この接続方法では事前にAzure IoT Centralアプリケーションに デバイスを登録する必要があります。個別加入に記載がある 「個々の登録を作成する」のトラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) の構成証明を参考にしてください。 |
× |
※この記事ではグループ登録(対称キー)の接続方法を利用します。
IoTデバイス(Acty-G3)ではどうやるの?
実際にIoTデバイス(Acty-G3)をAzure IoT Centralに接続するための手順を下記の順番で説明しますので、実際に試される方は上から順番に読み進めてください。
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IoTデバイス(Acty-G3)の準備しよう
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Azure IoT Centralアプリケーションを作成しよう
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デバイスカタログからデバイステンプレートを作成しよう
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IoTデバイスをAzure IoT Centralへ接続するのに必要な情報を収集しよう
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IoTデバイスをセットアップ(Azure IoT Hubへの接続設定)しよう
~ IoTデバイス(Acty-G3)の準備をしよう ~
以下の手順でIoTデバイス(Acty-G3)の準備を行います。
IoTデバイス(Acty-G3)のIMEI番号をメモ
IoTデバイス(Acty-G3)のAzure IoT Centralへの接続が完了した際、設定したデバイスで正しく接続できているか確認するためにIMEI番号を使用します。IMEI番号はIoTデバイス(Acty-G3)の裏のバッテリーを外した場所に記載がありますので、メモして控えておきましょう。
Vysorアプリケーションのインストール
IoTデバイス(Acty-G3)はAndroid OSを搭載したデバイスですがディスプレイがありません。そのため、各種設定を行うためにVysorというアプリを使用します。Vysorを使うことでPCやブラウザからIoTデバイス(Acty-G3)を操作することが出来るようになります。Vysorのサイトから使用環境に合わせたインストーラーをダウンロードしてインストールしてください。
IoTデバイス(Acty-G3)との接続
まずは、PCやブラウザからIoTデバイス(Acty-G3)を操作できる状態に設定します。
- PCとIoTデバイス(Acty-G3)をUSBケーブルで接続してください。
- 赤丸部のスイッチを押してIoTデバイス(Acty-G3)の電源を入れます。
- Vysorアプリケーションを起動し、IoTデバイス(Acty-G3)の検出を確認します。(デバイス名は「CP G3」と表示されます)
- ▶(再生ボタン)をクリックします。
- 「G3 Config Tool」アプリが起動している状態で画面が表示されます。(「G3 Config Tool」はIoTデバイス(Acty-G3)の起動時に自動的に開始されます)
IoTデバイス(Acty-G3)のネットワーク設定(WiFi)
次に、IoTデバイス(Acty-G3)がインターネットへ接続できる状態に設定します。
- ●(ホームボタン)をクリックします。
- 「Settings」アプリケーションを起動します。
- 「Network & internet」をクリックします。
- 「Wi-Fi」をクリックします。
- 接続するWiFiを選択して、パスフレーズを入力して接続を完了します。
GPSトラッキング機能の有効化
IoTデバイス(Acty-G3)購入後の初期状態はGPSトラッキング機能が無効となっていますので有効にします。
- 「Acty Setting」をクリックします。
- 「GPS Tracking」のスイッチをクリックして有効にします。
- GPS情報を送信する間隔を1秒〜600秒の間で設定することができます。初期値は60秒です。
~ Azure IoT Centralアプリケーションを作成しよう ~
以降の手順は、Azure IoT Central ビルドのサイトでMicrosoft 個人アカウント、職場または学校アカウントを使用してサインインする必要があります。
以下にAzure IoT Centralアプリケーションを作成する手順を説明します。
- 「ビルド」ページに移動します。
- カスタムアプリ「アプリの作成」をクリックします。
- アプリケーション名とURLを設定します。自動的に入力されているアプリケーション名とURLをそのまま使用することも、独自のわかりやすいアプリケーション名を入力することもできます。
- 7日間の無料試用料金プラン、またはいずれかの標準料金プランを使用してアプリケーションを作成することを選択します。
- 使用条件を確認し、ページの下部にある「作成」クリックします。 数分後に、IoT Central アプリケーションを使用する準備が整います。
~ デバイスカタログからデバイステンプレートを作成しよう ~
MicrosoftのIoTプラグアンドプレイ認定を受けているデバイスをIoT Centralアプリケーションの雛形として登録し、これをベースにカスタムすることで独自のアプリケーションを作成することができます。
IoTプラグアンドプレイ認定を受けているデバイスはデータ通信のインターフェース定義のカタログが用意されており、IoT Centralはそのカタログに合わせてIoTデバイスと通信を行うので、IoTデバイス(Acty-G3)とAzure間の通信を意識することなく簡単にアプリケーションを構成することができます。
- 「デバイステンプレート」をクリックします。 「+新規」をクリックします。
- ページをスクロールして「CAT-G3」を見つけます。 見つけた「CAT-G3」をクリックし、「次へ:レビュー」をクリックします。
- 「作成」をクリックします。
- デバイステンプレート「CAT-G3」が追加されたことを確認します。
~ IoTデバイスをAzure IoT Centralへ接続するのに必要な情報を収集しよう ~
IoTデバイス(Acty-G3)をAzure IoT Centralへ接続するのに必要な情報を集めます。
- ID スコープ
- 「管理」 > 「デバイス接続」に表示されているID スコープをメモしてください。
ID スコープの右端にあるボタンをクリックするとクリップボードに値をコピーできます。テキストファイルなどにペーストして保存してください。
- 「管理」 > 「デバイス接続」に表示されているID スコープをメモしてください。
- グループキー
- 「管理」 > 「デバイス接続」 > 「SAS-IoT-Devices」に表示されているShared Access Signature (SAS)の主キーをメモしてください。
主キーの右端にあるボタンをクリックするとクリップボードに値をコピーできます。テキストファイルなどにペーストして保存してください。
- 「管理」 > 「デバイス接続」 > 「SAS-IoT-Devices」に表示されているShared Access Signature (SAS)の主キーをメモしてください。
~ IoTデバイスをセットアップ(Azure IoT Hubへの接続設定)しよう ~
前項でメモした接続情報をIoTデバイス(Acty-G3)に設定し、Azure IoT Hubへ接続します。
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VysorでIoTデバイス(Acty-G3)に接続します。
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「Azure Connection Setting」をクリックします。
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「Azure Connection Authentication」をクリックし「Group DPS with Symmetric key」を選択します。
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前項でメモした「ID スコープ」を入力します。
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前項でメモした「グループキー」を入力します。
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IoTデバイス(Acty-G3)を再起動します。再起動するには電源ボタンを長押ししてください。電源が落ちたことを確認し、再度電源ボタンを押してIoTデバイス(Acty-G3)を起動します。起動後、自動的にAzure IoT Centralへの接続が開始されます。接続状態はLEDにて確認出来ます。
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(設定した接続情報を再度確認してください)|
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「デバイス」 > 「CAT-G3」に事前に調べたIMEI番号がデバイスIDに表示されていれば接続は成功です。
※『~ IoTデバイス(Acty-G3)の準備をしよう ~』の『IoTデバイス(Acty-G3)のIMEI番号をメモ』で控えたIMEI番号とデバイスIDが一致していることを確認してください。
次回の記事について
ここまでの手順でIoTデバイス(Acty-G3)がAzure IoT Centralへ接続されるところまで出来ました。次回の記事はIoTデバイス(Acty-G3)から送られてきたデータを可視化する手順を解説していきます。