このシリーズでは、Dynamics 365 Sales の概要および設定方法について、次の3回に分けて説明します。
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【第3回】Dynamics 365 Sales -Excel テンプレートの作成と管理-(※ 本記事)
第3回では、Excel テンプレートについてご紹介します。
目次
1. Excel テンプレートとは
顧客情報や売り上げ実績、進行中の案件の進捗状況など営業活動をより良いものにしていくには、それらの様々なデータを管理・活用する必要があります。
そういったデータ管理の際に使用する代表的な表計算ツールとして、Excel をあげられるかと思います。
予め Excel シートに管理項目を一覧にした表やグラフを用意しておき、Dynamics 365 Sales に登録しておくことで保存しているレコードを簡単に Excel へデータ出力し、データを可視化することが出来ます。
それが Excel テンプレートの機能です。
2. Excel テンプレートの作成イメージ
ではどういったテンプレートを作成できるのか。
例えば、以下の画像は弊社で作成したエクセルテンプレートの一部になります。
シートごとに、単月、四半期、半期、年間のデータを集計し、各月の受注率や失注率をグラフ化しました。
その他にも、Dynamics 365 Sales 内に持っているレコードであれば何でも使用できますので、各営業担当がどれくらいの活動を実績として残したのかのグラフも確認できます。
下記の例であれば、左側のグラフは各月に顧客と実際に接した会議や電話などを集計したグラフを表し、右側のグラフは顧客へのプレゼンなどに要した作業時間をグラフ化したものになります。
これらの情報を基に、営業の管理者担当は自分自身の配下メンバーがどういった活動をしてその結果がどうなのかを直ぐに振り替えられることで次のアクションへの分析につなげることが出来ます。
この Excel テンプレートは、以下画像のように Dynamics 365 Sales から必要なデータを一覧で出力し、そのデータを参照する形で各グラフや表を作成しているといった仕組みになります。
それでは実際の設定方法についてご紹介いたします。
3. Excel テンプレートの設定方法
・Excel テンプレートに出力するデータをまとめたビューを作成する
1. Excel テンプレートに出力したいレコードが登録されているテーブルに出力データ専用のビューを作成します。
Power Apps ページ ( https://make.powerapps.com ) からテーブルを選択し、該当のテーブルを選択します。
例として、ここでは「営業案件」を選択しておきます。
2. データエクスペリエンスの「ビュー」を選択します。
3. 画面左上の「+新しいビュー」を選択します。
4. ビューに名前を設定し、「作成」を押下します。
名前は「(テンプレート出力用)」や「(レポート出力用)」を頭につけておくなど、出力用のものであることを明記しておくと、ユーザーが判別しやすいのでお勧めいたします。
5. 出力したい項目を「+列を表示する」から追加していきます。
全て設定出来たら、画面右上の公開を選択します。
これでビューの作成は完了です。
・Dynamics 365 Sales へ Excel テンプレートを登録する
1. Dynamics 365 Sales アプリを開き、画面右上にある「歯車マーク」>「詳細設定」を選択します。
2. 画面左上の「設定」から「テンプレート」を選択します。
3. ドキュメントテンプレートを選択します。
4. 画面左上の「+新規」を選択します。
5.「Excel テンプレート」を選択し、先述の手順で作成したビューのテーブル名称を「エンティティ別にフィルター」に、ビュー名を「保存されているビューを使用」から選択し、「ファイルのダウンロード」を押下し、テンプレートをダウンロードします。
6. ダウンロードした Excel テンプレートを開くと、レコードが入ったシートが出力されています。
ここに新しいシートを追加して、出力されたデータを参照する形で必要なグラフや表を作成していきます。
7. 作成が出来たら手順4の画面に戻り、今度は画面左上の「テンプレートのアップロード」を選択します。
8. 作成した Excel テンプレートをドラック&ドロップ、または参照から選択して「アップロード」を押下します。
9. 下記の画像の画面が表示されたらアップロード完了です。
以上で Excel テンプレートの設定は完了です。
4. Excel テンプレートの出力方法
1. それでは実際に出力する手順をご紹介いたします。
Dynamics 365 Sales の画面を開き、先述の手順でテンプレートの設定をしたテーブルのフォームを選択します。
ここでは、営業案件に作成したので「営業案件」を選択します。
2. 現在のビュー名が表示されている箇所を選択し、ドロップダウンから対象のビューを選択して表示します。
3. 画面右上の「Excel テンプレート」を選択し、登録したテンプレートを選択します。
4. Excel Online で開くか、ダウンロードするかを任意で選択することで、テンプレートが出力されるようになります。
以上で、Excel テンプレートの出力方法の手順は完了です。
まとめ
今回は、Excel と連携することでデータを可視化する「Excel テンプレート」の機能をご紹介いたしました。
Excel は一般的にビジネスツールとして使用されるため、多くの人が触った経験があるかと思います。
それゆえに、誰もが気軽に使えて、また少しネットで調べればグラフの作り方や表の作り方といった情報が得られるため、導入に際して技術的な障壁が低いことがメリットかと思います。
実際のここまででご紹介した手順も、それほど難易度として高くなかったのではないでしょうか。
これまで、3回にわたって Dynamics 365 Sales についての機能をいくつかご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
もし SFA を導入されていない企業様であれば、Dynamics 365 Sales を導入することで、営業担当の個人個人で管理してきた情報を簡単な手順で会社として一元管理でき、その情報を分かりやすく見えるかしていくことで、これまで気づかなかった様々な課題や逆に各人の強みなどが具体化していくと思います。
既に導入されている企業様であれば、普段使用している Excel や Word などのツールとの連携がしやすい Dynamics 365 Sales を使用することで、より便利により簡単に情報を管理することが出来るようになるかと思います。
第1回でもご紹介しましたが、Dynamics 365 Sales には30日間の無料使用版が提供されています。
もし気になった方は、実際にみてどんな感じかを触ってみて導入の検討をされてみてはいかがでしょうか。
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